LYCEE FRANCOIS MANSART
パリ市郊外のVarennneにあり学生約700名、教員約30名を擁するこのリセは、フランスバロック建築を確立した17世紀の代表的な建築家であるフランソア・マンサールの名を冠している。授業時間は午前8時から午後6時までであるが、午後11時まで学校が開放されている。1クラスは15名程度であり、教員は週15〜18時間の授業を担当している。学生の授業時間は専攻によって異なるが、週30〜32時間であり、一般教科と専門教科はおおよそ半分ずつである。このリセは木工と住居建築を中心とした職業リセと、普通リセで構成されている。80〜90%が職業リセに、他は数学、生物、物理を中心とした普通リセに在籍している。商業関係コースに在籍する学生もいるがごく少数である。2年間で木工コースでは将来家具職人、住居建築コースでは大工としてのBEP、CAP取得を目指している。その後、1年間学習を続け職業バカロレア(BacP)や、さらに学習を深化させ1年後上級テクニシャン(BTS)を目指す学生もいる。BTS取得には、1年間で4から8週間の企業実習が課せられている。
上級テクニシャンを目指す学生は芸術的センスを磨くため、企業とタイアップし、製品の企画から製造までを行い、企業と連携しながら、取得に向けての学習を行っている。
このリセでの学習フローチャートは以下のように図示できる。
・SEGPA→CAD→就業
・College第2年修了者→BEP→就業
・College第2年修了者→BEP→Bac
→BTS→就業
・職業1年→職業2年→BEP→Bac→BTS →就業
・職業1年→職業2年→BEP→Bac→進学
※SEGPA:College内に設置された、ハンディキャップ(身体的・精神的・社会的・経済的以外)を持った生徒のための適応学級。
このリセで取得を目指す職業免許は以下のようである。
CAP:建具組み立て、BEP:木工材料
BacP:住居建築、木工材料
BacT:科学・地質学、科学・産業技術、
地球科学
BTS: E.E.C(en Etudes et Economie de la Constraction=建築原価)
T.C(en Technico Commercial=工業簿記)
PROD(Productique Bois et Ameublenent=木製家具製作)
S.C.B.H(Systemes Constructifs Bois et Habitat=住居建築)である。
NOELLE FOUCART(ノエルフカール)校長の案内で私たちが見学をさせてもらったのは、木工材料、住居建築の技術バカロレア取得に向けたコースのアトリエ(ショップ)実習であった。木工材料は将来家具職人となる学生のコースである。この時は抽斗(ひきだし)作りを行っていた。このリセでは、のこぎりやドライバーなどの基本的な工具を使っての伝統的な家具作りを行い、技術が向上したらオートCADで設計図面を引き、CAMで工作データを作り、CNC工作機械で旋盤を行うといった一連の作業をコンピュータ制御で行う先端技術を身につけるというような、伝統的なスタイルと情報科学な技術を融合させ、最先端のテクニックを目指すカリキュラムが設定されている。また、住居建築アトリエには地域から寄付された伝統的な建築部品が飾られており、地域住民の期待の大きさを垣間見ることができた。



住居建築アトリエ